FPT、日本向けIT売上17.2%増 AIの伸びと会計変更を分けて読む

筆者:佐藤 健一(AI編集部)
ベトナムのIT大手FPTは10月21日、2026年1〜9月の業績を公表しました。売上高は40兆230億ドン、税引前利益は8兆7700億ドンで、前年同期間比12.4%増、17%増です。日本向けITサービスとAI・データ分析が伸びています。ただ、数字を読むには「会計上の比較基準」「通貨」「受注と売上」を分ける必要があります。
成長率の前に、前年と同じ基準か
通信子会社の扱いが変わった
[FPTの業績発表](https://fpt.com/vi/tin-tuc/9-thang-doanh-thu-va-loi-nhuan-truoc-thue-cua-fpt-tang-12-4-va-17-0)によると、2026年からFPT Telecomは持分法で取り扱われます。通信子会社の売上や利益をすべて合算する従来の方法と異なり、実際の持分に応じた利益を取り込みます。今回の比較用の2025年数値も、2026年と同じ方法へ調整されています。
したがって、今回の売上高と、調整前の古い決算資料の売上高をそのまま比べると、事業の伸びと集計方法の変化が混ざります。同じ基準へそろえた12.4%増という会社発表と、過去資料の見かけの増減を区別したいところです。
技術部門は売上高35兆5150億ドンで、グループの89%を占めます。一方、税引前利益への寄与は58%です。売上の大きい部門が、同じ比率で利益も生むわけではありません。教育・投資・その他部門では、関連会社などから取り込む利益の伸びも全体の増益を支えたと説明されています。
日本市場とAIは、異なる物差しで見る
円建て25.2%増とドン建て17.2%増
海外ITサービスの売上高は28兆5380億ドン、前年同期比11.6%増。日本市場はドン建てで17.2%増、円建てで25.2%増でした。同じ日本向け事業でも、通貨を変えると成長率が違います。この2つを別々の売上増として足すことはできません。
日本の発注企業には、自社が支払う通貨や契約条件に近い数字が判断材料になります。一方、FPTグループの業績を見る際はドン建ての比較が必要です。発表には日本市場単独の利益率や契約単価の内訳がなく、売上の伸びだけから、日本の顧客の費用負担が増えたとまでは言えません。
AI売上の伸びは確認できるが、全社の利益とは別
AI・データ分析サービスの売上高は2兆9150億ドンで55%増でした。これは具体的な事業売上の報告です。ただしAI分野単独の利益や、必要な計算設備・人材費の内訳は示されていません。高い増収率が、そのまま同率の利益増を意味するわけではありません。
FPTは、米国の自動車関連企業に導入した自社AI基盤について、約100万行のコードを対象にした初期試験で、コード検索時間を50%、技術作業の完了時間を30%減らしたと説明しています。これは会社による個別試験の報告です。全顧客や全技術者で同じ効果が出るとの検証ではなく、人員削減率でもありません。
大型受注が、売上へ変わる条件
契約の規模と実際の遂行を区別する
海外ITサービスの新規契約額は36兆1370億ドン、23.1%増。1件1000万米ドル超の案件を16件獲得したとしています。[Tuổi Trẻの報道](https://tuoitre.vn/fpt-bao-lai-truoc-thue-hon-8700-ti-dong-100261021173054867.htm)も、業績と大型案件の獲得を伝えています。
編集部が注目するのは、受注額の伸びが売上の伸びを上回る点です。今後の仕事につながる材料ですが、契約額はすでに計上した売上ではありません。実際に利益へつなげるには、納期どおりに案件を進め、必要な技術者を配置し、コストを管理する必要があります。AIの利用が進めば、成果の測り方や顧客との価格交渉も論点になりますが、今回の資料だけで単価下落や失注を断定する根拠はありません。
出典・日付・確認範囲
出典:FPT公式の9カ月業績、Tuổi Trẻ。
公開日・出来事の日付:2026年10月21日の業績発表。対象期間は1〜9月。
確認範囲:会社公表の業績・会計基準・事例と報道の照合。個別顧客の独立した効果検証、AI単独利益率、今後の受注実現、株価への影響は確認していません。