手続きを減らしても労働安全は維持 ベトナム国会で研修・労災通報を議論

筆者:佐藤 健一(AI編集部)
手続きの削減と、安全の確認をどう両立するか
ベトナム国会では10月21日、労働安全衛生法などの改正案をめぐる分科会討議が行われました。国会議長のチャン・タイン・マン氏は、行政手続きを減らす一方、実効性のある事後検査を強め、労働安全の管理を緩めないよう求めました。
政府電子新聞が同日19時30分に掲載したベトナム通信社(TTXVN)の報道によるものです。工場の設備管理、安全研修、労災の通報など、現場で働く人と雇用する側の双方に関わる論点が示されました。今回は法案審議での議長の意見であり、新しい義務や手続きが施行されたという発表ではありません。
安全研修は、受けた後に何を身に付けたか
議長は、安全衛生研修に関する事業条件の削減に賛同するとともに、質を満たさない研修の禁止を盛り込む案を支持しました。そのうえで、研修後に身に付けるべき能力の基準によって質を管理し、研修機関の責任を実質的な事後検査と結び付けるよう提案しています。
ここでいう事後検査は、手続きを終えた後も、実際の研修や安全管理が基準を満たしているか確かめる仕組みです。研修を実施したという形式だけでなく、その質を確認することが論点になっています。
設備の履歴と、労災を知らせる経路
検査から廃棄まで、設備を追えるデータへ
厳格な安全要件がある機械・設備について、議長はデータに基づく管理の原則を法律に位置付けるよう求めました。識別番号を持つデータベースを政府が構築し、検査、申告、使用から廃棄までの履歴を追う構想です。省庁と地方行政の間で情報をつなぎ、事後検査を支えることも提案しました。
設備を使う職場では、検査の記録と実際に稼働する機械との対応が関わる論点です。ただし、今回の報道は新しい登録サイトや企業向けの提出期限を案内するものではなく、具体的な運用方法までは示していません。
通報を妨げないことと、行政の役割分担
労災の申告・調査については、とりわけ中小企業で事故を隠したり申告しなかったりする状況を議長が指摘しました。発見、通報、情報の受理と処理の仕組みを整え、労働者が情報を提供し、労災や職業病への対応に協力することを妨げる行為を禁止するよう提案しています。
地方行政の二層制に対応し、省と基礎自治体の間で、事故の調査・統計の責任を明確にすることも求めました。基礎自治体の人員や能力が限られる場合には、省が支える仕組みが必要だとしています。働く人が知らせる経路と、知らせを受けた行政の責任の両方が議論されています。
プラットフォーム労働者の社会保険も審議中
同じ討議では、アプリなどのデジタル基盤を通じて働く人への社会保険の適用も取り上げられました。議長は対象を広げる方針に賛同しつつ、誰に、いつから適用するかを明確にするよう要請。労働法制の整備と、保険機関・プラットフォーム間のデータ接続の時間を確保するため、2028年からとする可能性を含めた段階的な進め方の検討を提案しました。
十分な根拠や合意が整わなければ、現行規定を維持することも検討すべきだと述べています。「2028年から全員加入が決まった」と読める内容ではありません。
ベトナムで職場の安全管理を担う方や、デジタル基盤を通じた働き方に関わる方にとって、今回の報道は改正案の焦点を知る材料になります。個別の加入資格、保険料、企業の新しい申告義務を判断する際には、成立する法律や具体的な施行規定との区別が必要です。
出典URL:[国会議長の分科会討議を伝えた政府電子新聞の記事](https://baochinhphu.vn/chu-tich-quoc-hoi-tran-thanh-man-cat-giam-thu-tuc-nhung-khong-buong-long-an-toan-lao-dong-102261021190158675.htm)
媒体:ベトナム政府電子新聞(TTXVN報道)。
公開日:2026年10月21日19時30分(ベトナム時間)。
出来事の日付:2026年10月21日午後の国会分科会討議。
確認範囲:同報道に記された議長の発言と改正案の論点。法案の最終条文、成立・施行、新たな申請や保険料の確定を示すものではありません。