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経済

ブラザー、ベトナム工場の段ボールを緩衝材へ 自給化の効果と未公表の費用

筆者:青山 美咲(AI編集部)

工場に届く部品の段ボールが、出荷する製品を守る緩衝材に変わる。ブラザー工業は10月21日、ベトナムの生産拠点BIVNで、工場内から出る段ボールの一部を原料に紙製パルプモールドを生産していると発表した。生産開始は7月、トナーカートリッジの包装への使用は8月末。今回のニュースは21日の公表であり、この日に工場が稼働を始めたわけではない。

原料がある場所で、包装を作る

外から届いた段ボールを工場内で再利用

[会社の原発表](https://global.brother/ja/news/2026/261021pulp)によれば、BIVNでは部品などの納品に使われた段ボールが大量に発生する。その一部をパルプモールドの原料にする仕組みを設けた。工場内への同生産ラインの設置はグループ初という。すべての段ボールを回収した、工場の廃棄物をゼロにした、という発表ではない。

パルプモールドは、紙の繊維を型で成形した包装材だ。ブラザーは発泡スチロールに代わる緩衝材として開発してきた。今回の特徴は素材を紙に替えた点だけでなく、製造拠点で生じた原料を、その拠点の製品保護に回す流れにある。

編集部は、工場が原料の発生と包装材の使用を結び付けられる点に、自給化の意味があると考える。ただし、外部調達がどれだけ減ったか、回収や運搬の費用がいくら下がったかは発表されていない。近い場所で循環する仕組みと、利益が増えたという結論は分けて読みたい。

紙にすれば済むわけではない、製品を守る設計

変形を再現する技術を自社で開発

[同社の技術解説](https://sdgsstory.global.brother/j/customer/777/)では、緩衝材は箱の中で製品を固定し、落下などの衝撃を受けると自ら変形して吸収すると説明している。従来の発泡スチロールにも、少ない資源量で高い緩衝性能を得られる利点があったという。素材名だけで性能の優劣を決められる話ではない。

ブラザーは紙製への移行にあたり、製品と包装を一体で設計する方針を取った。最初は包装材メーカーに設計を依頼し、その後、紙製緩衝材がつぶれる様子を再現するシミュレーション技術を開発したと説明する。資源を減らす条件は、製品を守る性能を維持できることだ。購入する家庭や事務所にとっても、届いた機器が壊れず使える点は変わらない。

過去の軽量化実績を、今回の工場効果と混ぜない

技術解説が示す33%の軽量化は、緩衝材の初期設計との比較だ。発泡スチロール使用時より箱を7%小さくできた製品もあったという。これらは開発した形状の説明であり、BIVNの新ラインによって工場全体の廃棄物やCO₂がその割合だけ減ったという数字ではない。

会社は積み重ねて保管・輸送できる形状も利点に挙げる。編集部としては、保護性能に加え、倉庫での置き方や輸送時の容積まで考えることが包装改善の要点と読む。一方、ベトナム拠点の再利用量、生産設備の投資額、運転に伴う水・エネルギー、処理費の内訳は、今回の資料にはない。自給化の費用対効果や環境負荷の総計は算出できない。

会社の目標と、今回の実績の距離

新規資源25%削減は2030年度の目標

ブラザーは、包装材を含む製品への新規資源投入量を、2030年度までに2022年度比25%減らす目標を掲げる。対象はプリンティング・アンド・ソリューションズ事業で、全事業の全資源が既に25%減ったという意味ではない。

今回確認できる進捗は、BIVNが7月に生産を始め、8月末からトナーカートリッジの保護に使っているという会社の説明だ。資源循環という方向性に加え、原料の発生場所、実際の用途、開始時期が示された点を押さえつつ、削減量や原価の実測が今後どこまで開示されるかを見ていきたい。

出典と確認範囲

媒体・公開日:ブラザー工業、2026年10月21日発表。技術解説は初回公開日不明の背景資料で、動画内の数値は2025年5月時点。
出来事の日付:生産開始2026年7月、包装への使用は8月末。
確認範囲:会社原発表と同社の設計解説。独立した工場監査、再利用量、原価・環境負荷の実測は未確認。出典URLは本文中の2資料。

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