2000万円で何年暮らせる? ホーチミン老後生活のお金と、田舎暮らしの気になること

筆者:森川 彩(AI編集部・AIライター)
## 1.夫婦で暮らすなら、いくらあれば安心でしょう
### 年金と貯蓄を並べてみます
ホーチミンの老後生活。買い物や、具合が悪い日に頼れる人のことも、家計と一緒に考えてみましょう。
2026年度の標準年金は月23万7279円です。夫が賞与込み月額換算45.5万円の平均標準報酬で40年就業し、夫婦とも基礎年金満額という例です。夫婦同年齢で、両方が60歳から60カ月繰り上げると仮定します。
減額率=0.4%×60カ月=24%
月額=23万7279円×76%=約18万332円
年額=18万332円×12=約216.4万円
1962年4月2日以後生まれの税引前概算です。減額は生涯続き取消し不可。妻の年齢や加入歴でも金額は変わります。
### 月36万円の中身
実測平均・見積額ではなく、夫婦の予算例です。
住まい:家賃10万円+光熱通信1.8万円
食事:7万円
移動:1.5万円
医療:民間保険5万円+自己負担1万円
余暇:ゴルフ4万円
帰国:航空券積立2万円
査証・追加出国:1.2万円
日用品等:2.5万円
合計:月36万円×12=年432万円

日本食を1人25万ドン、夫婦で月8回とすれば約2.5万円です。食費の残りを自炊などに回します。ゴルフは夫婦各月1回。日本往復24万円は年1回の航空券枠で、日本の宿泊費は別です。換算は比較用の1ドル160円・2万6000ドンで、現在相場ではありません。
### 2000万円を20年に分けると
年間不足=432万円-216.4万円=約215.6万円。
2000万円÷215.6万円=約9.3年です。
緊急資金300万円と移転・保証金等70万円を別に置くなら、生活費に使える貯蓄は1630万円。20年間の月支出上限は、
18.03万円+1630万円÷20年÷12=約24.8万円です。
逆に月36万円を20年続ける初期資金は、
215.6万円×20年+300万円+70万円=約4682万円です。
税、物価・為替変動、年金改定、運用益、介護費を入れない条件比較なので、「この額なら大丈夫」という保証ではありません。300万円は搬送費の上限ではありません。保証金も返還条件次第で、最初の現金には含めています。
## 2.田舎の安さと、見えにくい出費
### メリット:住まいや食事を選び直せます
中心部から離れ、広さや日本食の頻度を調整できるなら、家賃や食費を抑える余地があります。地域の食材や交流を楽しめる方には魅力にもなりそうです。ただ、田舎というだけで金額は決められません。
### デメリット:車代で節約分が消えることも
仮に家賃を10万円から5万円、食費を7万円から6万円へ下げます。一方、買物や通院に運転手付きの車などが必要で、交通費が1.5万円から8万円になったら、
36万円-5万円-1万円+6.5万円=月36.5万円です。
これは現地相場ではなく、出費の入れ替わりを見る例です。車の見積もりには距離や待機時間も関わります。所有するなら購入・保険・整備・駐車代も別ですし、自分で運転する場合は免許の条件もあります。日々の移動で家計も変わります。
## 3.言葉と買い物も、生活費のうちです
### 翻訳アプリだけでは埋まらないこと
地方で日本語が通じる前提は置きにくく、片言の英語や中国語が助けになるかも地域や相手によります。外務省は、地方の病院ではほとんどがベトナム語対応と案内しています。買い物や家の修理まで、英語で済むつもりで選ぶと負担が残りそうです。
翻訳アプリは質問や商品名の確認に役立ち、Google翻訳には対応言語を事前保存する機能もあります。ただ、店の人が毎回画面を読む時間を取れるとは限りません。翻訳が出ても、こちらが数量や答えの意味を理解できたかは別です。道具があるだけでは、やり取りは完結しないのですね。
### 市場では「何を、どれだけ、いくらで」が大切です
市場や個人商店が買物の中心になる地域では、食材の名前が分からず、欲しい部位や量を伝えられない場面も考えられます。「1キロの値段なのか、1袋なのか」「量った重さと支払額は合うのか」。指差しで買えても、納得して選べるまでには慣れが要ります。
例えば、1キロ8万ドンと確認した品を500グラム買うなら4万ドンです。実勢価格ではなく計算例ですが、単位と数量が分かれば会計を確かめやすくなります。写真付きの買物メモ、電卓、よく使う品名や数字のベトナム語も、スマホ翻訳と一緒に使えそうです。
### 口コミを聞ける相手がいるという安心
店の評判や入荷日を知る近所の人は、買物の助けにもなります。交流がないうちは、店が並んでいても欲しい品質の物を探せないことがあります。高くても買いたいのに見つからない不便さです。
日本の調味料、いつもの日用品、家電の交換部品などは、近所で買えるか、配送されるか、代替できるかを分けて考えると暮らしが見えてきます。田舎には一律に何もない、という意味ではありません。希望する品を都市まで買いに行くなら、その交通費と時間も家計に入ります。買物や交渉を夫婦の片方だけが抱えない工夫も、長く暮らすうえでは大事にしたいですね。
## 4.生活インフラは、住所ごとに違います
### 水・電気・通信は、家の中で試したいところです
EVNの2026年1月発表では、農村世帯の電化率は99.77%です。「田舎だから電気もない」とは言えません。ただ、電気が届くことと、借りる家の停電時に給水ポンプや冷蔵庫が使えることは別です。
外務省は水道水を飲用に適さないとしています。飲用水の購入や配達、水圧、貯水設備、排水は生活に直結します。通信も契約上の速度だけでなく、部屋の中で電話や通信が使えるかを試せると安心です。ゴミ回収、修理、配達範囲、雨の日の道路や浸水も大家さんや近隣に聞きたいところです。
## 5.家と医療は、身軽さも含めて選びたいです
### 購入のメリットとデメリット
購入のメリットは住居を確保できることです。一方、帰国したくなってもすぐ売れるとは限りません。Savills掲載のElysian82.4㎡は募集約57.4億ドン、約3533万円で、この購入例だけで貯蓄2000万円を超えます。
諸費用を仮に5%置くと約177万円増えます。税率の合算ではなく予備枠なので、登記・税・仲介・管理修繕の条件は別に確かめる必要があります。賃貸のGrand Marina63㎡も募集月5000万ドン、約30.8万円です。基準家賃10万円との差約20.8万円が月の支出に加わります。いずれも成約額ではなく、全市の平均でもありません。
### 病院までの距離と、いつもの薬
外務省は都市と地方の医療格差や、高度医療での国外搬送の可能性を挙げています。病院が遠ければ、費用だけでなく「具合が悪い日にどう行こう」という不安もあります。夜間の受入先や救急車の対応範囲まで分かる住まいなら、家賃が少し高くても選ぶ理由になります。
日本と同じ銘柄・規格の薬を続けて入手できるとは限りません。主治医と現地医療機関に、成分名、用量、代替可否、補充方法を相談し、処方内容が分かる書類を用意する方法があります。持参量は治療計画と持込規制に合わせ、自己判断で大量にためたり薬を変えたりしないことが大切です。外務省は、薬の種類・量によって手続きが必要なため、駐日ベトナム大使館等への照会を案内しています。
保険の月5万円も加入が保証された見積額ではありません。持病を申告したうえで対象外・免責・搬送補償を確かめたいところです。緊急時に誰へ連絡するかは、保険会社の支援窓口、病院、日本の家族で役割を分けておけます。
## 6.今の暮らしを基準に、まず1か月試してみませんか
海外転出時は日本の国保資格喪失手続きが必要です。電子ビザは最長90日で、再申請・再入国は保証されません。家の購入が長期滞在資格につながるわけでもありません。
今回の条件で20年を考えると、月約24.8万円が比較上の支出上限です。そこに自分たちの食事、移動、薬、頼める人への費用が収まるでしょうか。
日本でスーパーや病院が近く、言葉や移動に困らず暮らしているなら、その便利さも大切な財産です。家賃が安いというだけで、わざわざ不便な地域へ移る理由にはならないと思います。買物のたびに遠出し、通院や修理のたびに誰かを頼る暮らしでは、節約できても気持ちが疲れ、住むこと自体が嫌になる可能性もあります。
今の生活で「手放してもよい便利さ」と「譲れないこと」を夫婦で並べると、実際に住める地域は絞られてきます。便利な地域の家賃が予算を超えるなら、田舎で我慢して帳尻を合わせるより、日本で暮らすことや季節を決めた短期滞在も含めて考えてよいのではないでしょうか。地域の人との交流など、不便を上回る楽しみがあるかも大切です。
そこで、移住予定の実際の地域で、許可された滞在期間内に約1か月暮らしてみることをお勧めします。観光の中心地のホテルではなく、候補の住宅から普段の買物、食事、洗濯、病院までの移動を試し、支出と移動時間、困ったことを記録してみましょう。1か月だけでは季節の違いや病気になった際の負担までは分からないので、雨季の状況や緊急時の経路は別に確認したいですね。
外務省の案内では、日本国民は条件を満たす45日以内の滞在ならビザ免除の対象です。入国時の旅券残存6か月以上、帰国・第三国への出国券などの条件があります。「観光ビザなら必ず1か月」と考えず、渡航前に最新条件と目的に合う資格を確かめ、入国時に認められた滞在期限を守ってください。短期賃貸でも宿泊先へ滞在登録の対応を確認しておけます。
試したあとで「この不便さなら気にならない」「この場所では続けられない」と分かることにも価値があります。移住を決めるためだけでなく、見送る自由を残すための1か月にしてみませんか。
【出典・確認範囲】
日本年金機構(年金額:更新2026年4月1日/繰上げ案内:公開日不明)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03.pdf
Savills売買・賃貸募集(公開日不明)
https://search.savills.com/vn/en/list/property-for-sale/vietnam/ho-chi-minh
https://search.savills.com/vn/en/list/property-to-rent/vietnam/ho-chi-minh
外務省・医療事情(更新2026年10月2日)、安全対策基礎データ(更新2026年3月13日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/viet.html
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_015.html
横浜市・国保(更新2026年3月1日)
https://www.city.yokohama.lg.jp/lang/residents/living-guide/insurance/kenko-hoken.html
ベトナム入管(公開日不明)https://evisa.gov.vn/
EVN(公開2026年1月29日)
https://en.evn.com.vn/d/en-US/news/In-2025-EVN-continues-to-improve-power-supply-reliability-and-expand-digital-services-60-204-501252
Google翻訳ヘルプ(公開日不明)
https://support.google.com/translate/answer/6142473
出来事の日付:単一の出来事ではありません。2026年10月13日時点の生活費試算です。
確認範囲:制度・募集条件・公表資料。地方の買物やインフラは住居選びの検討例で、特定地域の実地調査ではありません。個別保険・薬・税額・入手性は未確認です。