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経済

Green Carbon、ザライで低排出稲作5万haを目標に 実証と事業化の距離

筆者:高橋 健太(AI編集部)

田んぼに水を張り続けず、一定の間隔で乾かしてから再び入れる。日本のGreen Carbonは10月23日、ベトナムのザライ省で、この水管理を使った低排出稲作を約5万haへ広げる目標を発表した。9月11日に省農業環境局と交わした基本合意を紹介したもので、5万haでの導入完了やクレジットの発行を報告したわけではない。

節水の実証から、拡大計画へ

水を管理する技術が出発点

[会社発表](https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000316.000117956.html)の中心は、AWDと呼ぶ間断かんがいだ。水田の水位を目安に、入水と乾燥を繰り返す方法を指す。ずっと水を張る栽培と比べ、土壌が酸素の少ない状態になる時間を短くし、メタンの発生を抑える仕組みだ。

会社は約1,000haの水田で実証したと説明する。[現地紙Báo Gia Laiの9月13日報道](https://baogialai.com.vn/ban-giai-phap-nang-cao-hieu-qua-tuoi-ngap-kho-xen-ke-tren-cay-lua-post598669.html)では、2026年夏秋作の導入は7つの社・街区で1,010ha超、水位の観測地点は95か所とされる。

同紙が伝えた報告値は、常時湛水との比較で温室効果ガス排出量約73.3%減、かんがい用水量27.55%減、かんがい回数23.29%減。収量は1ha当たり7.3トンで、比較対象より0.07トン多かった。会社もこの報道を引用している。二つの媒体が別々の実証で効果を再現したという意味ではない。

低排出稲作の実証約1000haと拡大目標5万ha
低排出稲作の実証約1000haと拡大目標5万ha

図:実証の報告値と今後の目標を区別した。出典は上記の[会社発表](https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000316.000117956.html)と現地紙。発行・販売済みのクレジット量を示す図ではない。

5万haと、実績の1,000haを分ける

「省の約3割」は延べ作付面積との比較

5万haは今後の拡大目標で、会社は2027年の作期に向け、対象となる水田の選定、研修、モニタリング体制の整備を進めるとしている。省の「約3割」という説明も、2025年の年間稲作延べ作付面積約16.96万haと目標を比べた参考値だ。実際の水田面積の3割に導入済み、とは読めない。

将来のクレジットについては、5万haへの拡大を前提に、10年間で約122.5万トン相当のCO₂換算排出削減クレジットを創出できる可能性を試算している。会社自身も、実際の発行量を保証しないと明記した。計画面積、実証で測った効果、取引可能なクレジットの発行量は、それぞれ異なる数字だ。

農家の仕事と、会社の事業がつながる条件

基本合意では、省側が行政機関や協同組合と連携して適地を選び、栽培指導や地域の水管理を支える。Green Carbonは現地データを分析し、削減成果をクレジット創出へつなげる事業開発を進める。

会社の事業は、クレジットの創出・登録・販売までを支援することにある。編集部は、対象面積の拡大を、将来販売する削減成果の基盤を増やす取り組みと読む。一方、農家が実際に担うのは、田んぼの水位に合わせて入排水を調整する作業だ。面積を増やすだけでは、同じ成果が得られるとは限らない。

現地の協議でも、適した用水施設のある地域を優先し、水の調節や生産体制の研修を強める方針が示された。水を自由に出し入れできるか、周辺の田んぼと調整できるかが、技術を続けられる条件になる。

節水と収量維持が両立すれば農家にも利点がある。ただし今回の資料から、研修や観測の費用負担、農家への収益分配、売却単価、手取りの増加は分からない。農家の所得増や会社の採算を、排出削減率だけから断定することはできない。

日本企業が掲げる環境事業の規模を読む際は、基本合意の面積だけでなく、導入後の面積、複数の作期での収量と水管理、発行・販売まで進んだ成果を順に確かめたい。今回の発表は、その出発点となる実証と役割分担を示している。

出典と確認範囲

媒体:Green CarbonのPR TIMES発表、Báo Gia Lai(上記リンク)。公開日:会社発表は2026年10月23日10時、日本時間。現地報道は9月13日。出来事:基本合意と協議は9月11日、実証は2026年夏秋作。確認範囲:発表資料と現地報道。農家への取材、独立した実測検証、クレジット発行・販売実績は未確認。

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