電子本人確認法案、登録が難しい人への支援を 国会でAIの誤り訂正も提案

筆者:高橋 健太(AI編集部)
電子本人確認を広げるとき、インターネットにつながりにくい地域や、オンラインの手続きに慣れていない人はどう登録するのでしょうか。10月26日午後、ベトナム国会の組別討論で、ラオカイ省選出のチャン・ア・ズオン(Tráng A Dương)議員が、電子本人確認・認証法案に住民への登録支援を盛り込むよう提案しました。技術を使う側の責任として、AIシステムの誤りを訂正する義務も求めています。
登録方法を、住民の利用環境に合わせる
山岳地域の通信とデジタル技能が論点
地方紙Báo Lào Caiの同日付報道によると、ズオン議員は法案の内容に基本的に賛成したうえで、弱い立場の人々、少数民族地域や山岳地域の住民の権利と利益を守るため、一部の規定を見直し、補足するよう求めました。
電子本人確認は、電子的な環境で「誰であるか」を特定する仕組み、認証はその本人であることを確かめる仕組みとして読めます。今回の討論では、登録の入口となる手続きを、住民が実際に使える形にすることが取り上げられました。
法案第10条の登録について、議員は山岳地域の多くの場所で、インターネット接続、技術基盤、住民のデジタル技能に制約があると指摘しました。オンライン登録だけを重視すれば、一部の人には手続きが難しくなるという説明です。
案内を公開することと、登録を支えること
提案は、住民への案内・支援の責任を追加し、登録方法の選択を、それぞれの人々の実情や利用のしやすさに合わせるというものです。関係機関には、条件、手順、手続きを十分かつ適時に公開・更新し、住民の手続き支援を強めるよう求めました。
ここで注目したいのは、申請方法を示すだけでなく、その方法にアクセスしにくい人を支える点です。議員が挙げた通信環境と技能の違いは、同じオンライン手続きでも利用条件がそろっていないことを示しています。ただし報道では、新たな窓口の所在地や支援の開始日までは示されていません。
不正を防ぎながら、正当な情報更新を守る
禁止行為の範囲を明確にする提案
ズオン議員は、禁止行為の規定で、違法行為と電子的な環境における合法的な活動を区別するよう求めました。一部の行為に「違法な」という限定を加え、組織や個人が自分の情報を訂正・更新する権利に影響しないようにする提案です。
AIなどで作った偽の音声を、不正な電子本人確認・認証に用いる行為も、禁止対象へ加えるよう求めています。報道が伝える狙いは、新しい技術によるなりすましや詐欺の予防と、合法的な科学技術の利用を妨げないことの両立です。音声技術の利用すべてを禁じる提案ではありません。
AIシステムの管理側にも訂正責任を
第43条のAI導入・利用に関する規定では、AIシステムを管理する組織や個人が、自らの責任の範囲で誤りを是正する義務を追加するよう提案しました。正確さ、安全性、透明性を確保するための責任として示されています。
登録時の支援、正当な情報更新の保護、システム側の誤り訂正は、本人確認を利用する人の権利を、入口から運用までどう守るかという論点につながっています。

図:10月26日の国会組別討論で示された提案を整理。成立済みの義務ではありません。出典:[Báo Lào Cai](https://baolaocai.vn/doan-dai-bieu-quoc-hoi-tinh-lao-cai-gop-y-hoan-thien-cac-quy-dinh-ve-an-ninh-du-lieu-dinh-danh-dien-tu-va-xu-ly-vi-pham-hanh-chinh-post912820.html)。
審議中の意見として押さえておきたい点
今回の記事が伝えているのは法案への議員の意見です。提案が最終的にどのような条文になるか、いつ施行されるか、外国人にどう適用されるかは、この報道では示されていません。ベトナムでのデジタル手続きを知る読者にとっても、今すぐ登録方法が変わったという案内と受け取らず、今後の制度の具体化を見分ける材料になります。
出典:Báo Lào Cai、Thanh Chi・Lê Văn May
公開日:2026年10月26日18時17分(ベトナム時間)
出来事:2026年10月26日午後の国会組別討論
確認範囲:電子本人確認・認証法案へのズオン議員の提案。成立・施行の決定は含みません。