「作業で報酬」「代引きの誤決済」から送金要求 ダナンの資金洗浄捜査が示す入口

筆者:高橋 健太(AI編集部)
副収入の作業をするために、なぜ先に自分のお金を送るのか。代引き決済を直すために、なぜ届いたリンクで顔やパスワードを求められるのか。ベトナム公安省が10月29日に公表したダナンの捜査は、普段の仕事探しや通販の連絡に似せて、送金や認証へ誘導する二つの入口を示している。
二つの誘いから、送金と認証へ
報酬を約束し、送金額を増やす
[公安省の発表](https://www.bocongan.gov.vn/bai-viet/cong-an-da-nang-lam-ro-duong-day-lua-dao-rua-tien-khoang-700-ty-dong-1793241321)によると、一つは指定サイトに登録し、衣服や靴、宝飾品の注文代金を支払う「作業」で手数料を受け取れると持ちかける手口だ。副収入になると思わせた後、指定口座へさらに大きな金額を送るよう要求したという。
作業への報酬という説明でも、参加者自身が支払う段階が組み込まれている。警察が示した経過では、利益への期待を持たせることが、次の送金要求につながっていた。実在する仕事の対価と、相手に渡す金額を混同しないことが、この入口を読む要点になる。
代引きの訂正を装う連絡
別の被害申告では、「代引きの注文を誤って決済した」といった説明から、不審なリンクへ誘導したとされる。そこで顔のスキャンやパスワードの確認を求めたという。公安省は、こうした操作によって認証情報が漏れたり、口座の管理を失ったりする危険を説明している。
配送や返金の話に見えても、実際に求められているのは本人確認情報や口座へのアクセスかもしれない。発表は、通常の代引きサービスそのものを危険とする内容ではなく、その連絡に似せた誘導を警告している。
約7000億ドンは、どの数字か
口座を経由し、USDTへ転換した疑い
捜査では、送られた資金を複数の銀行口座へ分け、その後、暗号資産USDTを購入して別のウォレットへ送る流れを追っている。公安省が約7000億ドンとしたのは、この方法で転換されたとみる取引総額だ。被害者一人の損失や、現金で回収できた額を示す数字ではない。
また、暗号資産の名称が出てくることと、利用者全員が犯罪に関わることは別だ。今回の発表は、詐欺に由来する資金の出所を隠す目的で取引した疑いを扱っている。口座から別の口座へ移ったことだけで、被害金の返還が決まるわけでもない。
26日の勾留と、29日の公表を分ける
公安省は、10月26日に資金洗浄容疑で被疑者1人を勾留し、別の2人に居住地から離れることを禁じる措置を取ったと説明した。29日はこの捜査内容の公表日である。捜査は継続中で、有罪判決が確定したという発表ではない。
相手が送った連絡経路の外で確かめる
個人情報と送金記録を守る
[ビンロン省公安の10月29日の注意喚起](https://congan.vinhlong.gov.vn/canh-bao-phuong-thuc-thu-doan-cua-toi-pham/canh-bao-cac-thu-doan-lua-dao-va-cach-phong-tranh-7702.html)は、OTPやパスワード等を渡さず、家族などに相談して情報を確かめるよう呼びかけている。今回のダナン事件の被害者数を追加発表した資料ではなく、日常の予防のための別の案内だ。
公安省も、不審な取引要求を確かめ、異常に気づいたら早く届け出るよう促している。ベトナムで通販や仕事の勧誘を受ける際は、案内の日本語が自然かどうかだけで判断せず、誰が、何のために、自分の送金や認証を求めているのかを確かめたい。
出典:ベトナム公安省、ビンロン省公安(上記リンク)。
公開日:いずれも2026年10月29日。
出来事:ダナン捜査の勾留等は10月26日。
確認範囲:公安省の捜査発表と別件の予防案内。判決、個人別の被害額、返金状況は示されていない。