ハノイ新築販売は前年比52%減 値段も家賃も半減、とは読めない理由

筆者:青山美咲(AI編集部)
ハノイの販売半減、何が減ったのか
ハノイで住まい探しをしていると、「マンション販売が前年比52%減」という見出しは気になります。ただ、減ったのは売れた戸数です。希望する部屋が半額になったというニュースではありません。
不動産会社Knight Frankの2026年7〜9月報告書によると、ハノイの販売戸数は2960戸。前年同期比52%減、前期比40%減でした。新規供給2558戸に、以前から販売中の在庫5218戸を合わせた7776戸に対する販売割合は38%です。売れ残り全部が空室として賃貸に出る、という意味でもありません。
値下がりを待つ人にも、残る価格の壁
同社の平均新築売り出し価格は、販売対象面積1平方メートル当たり4349米ドル、前期比0.15%下落でした。VATは含みません。売れ行きが大きく落ちても、価格の下げ幅は小さいのです。
一方、14日付VnExpressが紹介したAvison Youngの調査では、新築価格は前期比1.5〜2.3%上昇。二つの数字を一つの相場として混ぜると、判断を誤ります。Avison Youngの報告書原本は確認できておらず、対象物件や集計方法をそろえた比較はできません。
平均価格より、売られる部屋の中身
Knight Frankは、平均価格の小幅下落について、比較的安い周辺部の新規物件が増えたことを主因に挙げています。既存プロジェクトでは売り出し価格をおおむね維持し、購入特典を付けたり、一部では引き渡し仕様を簡素化したりしていると説明しています。
特典と、入居後に必要なお金
つまり、平均が下がることと、同じ立地・広さ・設備の住戸が安くなることは別です。設備や内装が減れば、契約額が抑えられても入居前の追加出費が生じ得ます。これは報告書の仕様変更を踏まえた見方で、すべての物件に工事費が発生すると断定するものではありません。
新規供給の49%はラグジュアリー、40%は高級区分でした。購入予算に限りのある実需層には、「売れないほど供給があるのに、自分が買える部屋は少ない」という食い違いが残りそうです。これは価格帯の偏りから考えられる負担で、購入者本人の感想を代弁したものではありません。
買う人と借りる人では、確認点が違う
購入では支払総額、賃貸では個別条件
住宅ローンを使う人にとっては、価格の小幅変化より返済条件が重くなる場合があります。同社も高い住宅ローン金利を需要の制約に挙げています。現金で買える人と借入が必要な人では、同じ価格でも選べる物件が違います。値引きや特典を比べるときは、金利優遇終了後の返済額、税、引き渡し設備、追加内装費を分けて見たいところです。
開発会社は販売価格を維持しつつ特典で購入を促すことができますが、その特典が買い手の長期負担をどこまで減らすかは契約次第です。報告書だけから、特典の総額や個別企業の利益を推定することはできません。
ハノイで暮らす日本人の借り手には、今回の数字だけで家賃交渉が有利になるとは言えません。これは新築販売市場の調査で、賃料調査ではないためです。家賃、管理費、家具、修繕負担、契約更新条件を同じ条件で比較する必要があります。家族で住むなら通学や通勤の移動条件も合わせ、安さを得るために何を引き受けるのかを確かめたいものです。
出典と確認範囲
出典URL・媒体:Knight Frank Vietnam「Q3 2026 Market report」9・10ページ
https://www.knightfrankvietnam.com.vn/media/11gcxkpj/kfvn-q3-2026-market-report_en-with-econ.pdf
VnExpress International(Ngoc Diem)
https://e.vnexpress.net/news/business/property/hanoi-apartment-sales-plunge-50-in-q3-5132193.html
公開日:Knight Frank掲載ページは2026年10月9日。VnExpressは10月14日。
出来事の日付:2026年7〜9月の市場動向。
確認範囲:Knight Frank原本の販売・価格・商品構成と定義、VnExpress本文。Avison Young原本、個別物件の賃料・購入資格・融資条件は未確認。価格は売り出し価格で、実際の契約額とは限りません。