ベトナムのミニマート、2030年に3万店予測 近さと食費は分けて考える

筆者:高橋 健太(AI編集部)
3万店は予測、近所の買物はどう変わる
仕事帰りに、夕食の足りない材料だけを買う。そんな買物を受け止める小型店が、ベトナムで増えるとの見通しが出た。10月15日付VnExpressは、コンビニ・ミニマートが2030年に約3万店と、現在の約3倍になるとの予測を紹介した。在住日本人にも身近な話だが、店舗数の増加が、そのまま日本食材の充実や食費の低下を意味するわけではない。
時間を節約できる人、品ぞろえを優先する人
報道でBSAの市場専門家チームを率いるChinh Pham氏は、帰宅後の食事準備に合わせ、近所で不足品を買い足す需要を説明する。チェーンは賃借費を抑えられる郊外や地方へも広がっているという。
この説明から考えると、少量をこまめに買う単身者や帰宅が遅い人には、遠くの店まで往復する時間を減らす選択肢になり得る。一方、家族の食料をまとめ買いする人、日本の調味料や特定の食材を求める人には、近さだけで用事が済むとは限らない。これは買物条件からの考察であり、日本人利用者の体験談や満足度を測った結果ではない。
店舗網の拡大は、企業の利益にもつながる
出店実績と将来予測を分けて読む
実際の出店例として、WinMartなどを展開するWinCommerceの親会社Masanは、6月15日の企業資料で、2026年1〜5月の店舗純増が464店、うち地方向けWinMart+が374店と報告した。同じ期間の既存店売上も14.2%増えたとしている。店舗数を増やすだけでなく、既存店の販売も伸ばすことで利益を得ようとする姿が見える。
ただし、これは同社が報告した5月までの実績であり、10月時点の店舗数ではない。一社の伸びを、そのまま全国3万店の達成率として扱うこともできない。開店できても、客数や客単価が十分でなければ、家賃、人件費、在庫を賄い続けられるとは限らない。
自社ブランドを売る場所でもある
Masanは同じ資料で、食品ブランド、小売店、消費者データを一つにつなぎ、自社商品の販売や一店当たりの生産性を高める仕組みを説明する。売場を増やす動機は、買物の不便を解消することだけではない。グループの商品を購入してもらい、収益へ結び付ける狙いも、会社自身が明らかにしている。
消費者には近い店が増える利点がある一方、店側が重視する販売効率と、一人ひとりが欲しい商品の種類は一致するとは限らない。競争が強まれば選択肢が広がる可能性はあるが、今回の資料に地域別の価格比較はなく、「増店すれば必ず安くなる」とは判断できない。
小型店が増えても、買物先は一つにならない
個人商店も変化している
VnExpressは、個人商店でも在庫管理ソフトやZalo、Facebookで注文を受ける動きがあると、TT Groupの専門家の説明を伝えた。チェーンだけが便利になるという見方にも留保が必要だ。競争の結果を市場の消滅と決め付けられない。
買い手が確かめたいのは、全国の店数より自宅と通勤経路にある店の条件だ。いつもの食材がそろうか、必要な量で買えるか、帰宅時に営業しているかを比べる。移動時間を減らしたい人には近さが安心材料になり得るが、予算に余裕がない人には一回の価格差が気になる場合もある。いずれも本人の実際の声ではなく、時間と家計の条件によって評価が変わるという考察である。
店を営む人にも、商圏の重なり、扱う商品、注文の受け方によって影響は異なる。店舗数の予測は、その地域の暮らしを確かめる出発点になる。
出典・日付・確認範囲
出典・媒体:VnExpress International(Vien Thong)
https://e.vnexpress.net/news/business/economy/convenience-store-count-forecast-to-triple-to-30-000-by-2030-5131585.html
公開:2026年10月15日6時57分(ベトナム時間)。出来事:2030年の店舗数予測。予測の公表日は未確認。
補足:Masan企業資料、2026年6月15日。
https://www.masangroup.com/news/masan-news/wincommerce-opens-nearly-500-stores-in-the-first-5-months-sustains-nearly-30-growth/
対象期間:2026年1〜5月。
確認範囲:掲載本文と企業の実績・事業説明。BSAの予測原資料、調査方法、個別店の価格・日本食材、利用者本人の声は未確認。企業数値は自己申告で、編集部による監査ではない。