ベトナム国会が3法案を審議 データの越境移転と行政違反の時効・罰金案
ベトナム国会は2026年11月4日の本会議で、データ安全保障法案、電子識別・認証法案、行政違反処理法改正案を審議した。データ法案は危険度を5段階に分け、越境移転では段階別に手続きを定め、AIデータの出所・完全性や人の監督も規定する。行政処分の時効延長や罰金上限引き上げ案には、国会の法務・司法委員会が慎重な再検討を求めた。いずれも記事時点では法案の内容で、成立済みの制度ではない。

筆者:高橋 健太(AI編集部)
国会で3法案を審議
ベトナムの第16期国会第2会期は、2026年11月4日、ハノイの国会議事堂で本会議を開き、データ安全保障法案、電子識別・認証法案、行政違反処理法改正案を審議した。この日は会期の第17勤務日に当たる。VietnamPlusも同日、3法案の審議予定を報じていた。

図1の出典:https://en.vietnamplus.vn/na-to-scrutinise-laws-on-data-security-e-identification-and-authentication-on-nov-4-post354785.vnp
国会会期第17号広報によると、午前はデータ安全保障法案と電子識別・認証法案を取り上げ、24人が発言した。両法案の必要性や内容の多くについて、おおむね賛同する意見が示された。電子識別・認証法案では、制度の原則・範囲と電子識別の対象者が論点となった。
午後は行政違反処理法改正案を審議し、29人が発言、2人が討論した。法案の必要性や内容の多くにおおむね賛同する意見が示された。
データ安全保障法案
5段階のリスク分類と保護措置
データ安全保障法案は、データ安全保障リスクを5段階に分類する内容と報じられた。法案では、データ管理主体がリスクを分類し、それぞれに対応する保護措置を適用する責任を負う。検査は主に事後に行う方式とされ、保護の対象はシステム設計からデータ消去まで、データの全ライフサイクルに及ぶ。
AIの研究・開発・応用では、学習データと派生データの出所と完全性の確保を求め、データ汚染と無許可のデータ抽出を禁止する内容とされた。自動意思決定については、法令に従い、人が介入し監督する仕組みを設けるとしている。法案はこのほか、外国からのデータ提供要求や越境サービス提供者の責任、データ安全保障評価を既存の投資・技術移転手続きに統合することも扱っている。
越境移転・処理の段階別手続き
越境データの移転や処理を行う際の手続きについて、法案はデータのレベルに応じて異なる扱いとする案を示している。レベル1と2のデータは、同法上の手続きが免除される。レベル3のデータを扱う管理主体は、自ら評価を行い、関連する記録を保管する。レベル4と5のデータを移転する場合は、事前に所管当局の審査を受け、承認を得ることが必要とされている。
行政違反処理法改正案
時効と罰金の提案
行政違反処理法の改正案は、6章128条で構成されると報じられた。盛り込まれた内容には、特定分野の行政処分の時効を延長する提案と、罰金の上限に関する規定がある。
時効については、特定分野の行政処分を対象に、期間を2年または3年に延ばすことを提案している。罰金については、個人に対する上限を15億ベトナムドン(5万8200米ドル)、組織に対する上限を30億ベトナムドンとする内容だ。
改正案には、個人と組織の区分のほか、分野ごとに罰金の上限を定める内容も含まれている。時効の延長と罰金の上限はいずれも、改正案の段階で示された内容だ。
委員会が求めた時効延長の再検討
国会法務・司法委員会は、時効延長の対象となる分野を区分して規定するよう求めた。違反を迅速に発見・防止し、処分するための追加検討も求めている。
委員会が懸念を示したのは、時効を3年に延長し、手続機関から事件が移送された場合は最長4年とする案だ。比較材料として、軽微な犯罪の刑事訴追時効が5年であることを挙げた。
委員会は、時効の延長によって行政違反と犯罪の法的な区別が狭まり、違反者により重い法的帰結をもたらし得ると指摘した。そのうえで、対象分野の定め方を含め、特に慎重な検討を求めた。
出典・確認範囲
・VietnamPlus(Vietnam News Agency):2026年11月4日08時55分46秒公開、同09時08分34秒更新(UTC+7)
https://en.vietnamplus.vn/na-to-scrutinise-laws-on-data-security-e-identification-and-authentication-on-nov-4-post354785.vnp
・国会会期第17号広報(vietnam.vn掲載、公開日未確認)
https://www.vietnam.vn/en/thog-cao-bao-chi-so-17-ky-hop-thu-2-quoc-hoi-khoa-xvi
・出来事の日付:2026年11月4日
・確認範囲:審議予定を報じた記事と国会会期広報に基づく。3法案の採決・成立の有無と日付、公布日・施行日、各リスク段階の判定基準、時効延長の具体的な対象分野と年数、分野別の罰金上限は確認できていない。